写真撮影において、逆光は一般的に避けられがちな条件ですが、実はこの「逆光」を上手く使うことで、被写体に独特の美しさとドラマチックな効果を与えることができます。この記事では、逆光を利用したポートレート撮影の基本から応用テクニック、そしてよくある問題の解決策まで、幅広く解説してみます。
逆光ポートレート撮影の基本
逆光撮影ってどんな撮影方法?
逆光撮影は、光源がカメラの背後に位置し、被写体を背後から照らす撮影方法です。この手法は、被写体のシルエットを強調し、写真にドラマチックな効果を与えます。逆光は、被写体の輪郭に光のハロ(写真用語でいうハレーション)を作り出し、写真に深みと感情を加えることができます。
逆光のメリットと魅力
逆光を利用することで、被写体に美しいリムライト(ブジェクトのエッジを照らすライト)やハイライトを生み出し、立体感を強調できます。また、逆光は、被写体のテクスチャーを際立たせ、写真に温かみと感情を加える効果が期待できます。
逆光時の露出補正の理解・カメラ設定の基礎知識
逆光時の露出補正は、被写体が適切に露出されるようにするために必要です、露出補正値は、撮影環境に応じて調整する必要があります。露出補正を行うことで、被写体のディテールを保ちながら、背景の光を美しく捉えることができます。
例えば、スポット測光モードを使用して被写体の明るい部分を測定し、適切な露出値を見つけ、ISOを低く保ち、シャッタースピードを調整することで、逆光の強い光に対応できます。(Rawで撮る前提なら少し違うのですが)
逆光撮影時のレンズ選びとその影響
ここ数年のうちに発売されたような現在のレンズを選べば、逆光撮影時に、フレアやゴーストの発生を抑えるコーティングがほどこされていて、フレアやゴーストは控えめになります。
それでも広角レンズは、光を捉えやすく逆光の効果を強調し、ドラマチックな空の広がりを捉えるのには向いているレンズと言えるかも知れません。現在のレンズとは逆にコーティングの弱い数十年前のオールドレンズを使えば、フレアやゴーストは壮大に発生するので、そういった目的で逆光を利用するのでしたら、オールドレンズの利用はおすすめです。(私は好んでそういった撮り方をよくするのでオールドレンズは大好きです)
フレアとゴーストの管理
フレアとゴーストは、逆光撮影の際によく見られる現象です。レンズフードの使用や、光源をブロックする位置にカメラを配置することが効果的です。また、先程もいいましたがゴーストやフレアを故意に入れれば創造的な要素として取り入れることもできます。
逆光撮影の応用テクニック
レフ板の使用方法
逆光で背景を活かそうとすると、露出を背景側の露出に近づけることになります。そうなると、被写体は、暗くなりがちです。そこでレフ板を使用することで、被写体の顔に柔らかい光を反射させ、影を和らげることができます。レフ板の位置や角度を調整することで、光の質をコントロールしましょう。
ストロボを使った光のコントロール
先程のレフ板と同じ理由ですがストロボを使うことで、レフ板より強力に逆光の影響を補正し、被写体を明るくおこすことができます。ストロボの強さや位置を調整して、できるだけ自然な見た目をに近づけるようにしましょう。
シルエット撮影のコツ
シルエット撮影は、逆光を効果的に使った撮影方法です。被写体の形を強調するために、背景よりも暗い露出を選び、シンプルな背景を選ぶことが重要です。そうすることで、例えば朝焼けや夕焼けのオレンジ色をバックに暗く落ちた人物のシルエットを作ることができます。
クリエイティブな逆光効果の作り方
逆光を使ってクリエイティブな効果を生み出すためには、光の角度や強さを実験し、異なるレンズフィルターや技術を試してみましょう。
例えば、オールドレンズを使えば、ゴーストやフレアがたくさん発生し、それを写真のエフェクトとして利用することができます。レンズフィルターでいえば、ブラックミストフィルターやホワイトミストフィルターなどを使うことで、光をより柔らかく拡散し、幻想的な雰囲気にすることができます。
編集時の逆光写真の扱い方
撮影後のLightroomなどのソフトを使った編集プロセスでは、逆光写真の魅力を最大限に引き出すことができます。raw撮影を行い、より多くの情報を含んだまま背景を白飛びさせず、被写体を黒つぶれさせない露出で撮影していれば、編集時にハイライト、シャドウの調整を行うことで、被写体を適正な明るさに保ちつつ背景も白飛びさせないという撮影方法が可能になります。(私はほとんどこの方法をとっています)
よくある問題とその解決策
背景の白飛びを防ぐ方法
背景の白飛びは、逆光撮影においてよく遭遇する問題です。グラデーションフィルターなどを使用することで、空の明るさをコントロールし、被写体とのバランスを取ることができますが、ポートレート撮影の場合だと動く人物がはいる為、その方法は難しいかも知れません。
被写体が暗くなる問題の対処法
被写体が暗くなる問題に対しては、ストロボやLEDなど追加の光源で前面から被写体を照らすように使用するか、レフ板で反射光を増やすことが効果的です。先程もいいましたが、編集時にシャドウを持ち上げて、被写体の露出を増やすのもいいでしょう。撮影時に、ストロボなどを使って顔や目の部分に光を当てることで、表情のディテールを引き出し、写真に命を吹き込むことができます。
コントラストの調整と詳細の保持
コントラストを適切に調整することで、写真のディテールを保ちながら、逆光の効果を強調できます。露出補正や編集ソフトウェアを活用し、写真の明るい部分と暗い部分のバランスを取りましょう。特に、RAW形式で撮影することで、後処理でより多くの情報を保持し、細かい調整が可能になります。
強い逆光下でのピント合わせ
強い逆光下でのピント合わせは難しい場合があります。マニュアルフォーカスを使用するか、ピントを合わせやすい部分を選んでオートフォーカスを利用しましょう。ピントを合わせたい部分にカメラを一時的に向けてピントを合わせ、その後再び構図を整える方法も有効です。
天候や時間帯による影響
天候や時間帯は、逆光撮影に大きな影響を与えます。晴れた日の早朝や夕方は、柔らかく暖かい光が得られるため、逆光撮影に最適な時間です。曇りの日は、より均一な光を提供し、シャドウが少なくなりますので、柔らかい写真を撮るのにはいいかも知れませんが、逆光写真というにはイマイチになる可能性はあります。
逆光写真のポストプロセス(撮影後のレタッチなど)
ポストプロセスでは、露出やハイライト、シャドウの調整を行い、逆光の効果を最大限に引き出します。また、カラーグレーディングを通じて、写真に芸術的な雰囲気を加えることができます。逆光の写真は、編集で大きく変わるため、様々な編集技術を試してみましょう。撮影時とは別物の素晴らしい作品が撮れているかも知れませんよ。
まとめ
いかがでしたか?逆光は、逆光の使い方がよくわからないという方には、とても厄介な光の向きですが、逆光の扱いに慣れてくると逆光を撮りたいと思えるほど、ドラマチックな表現ができる光です。みなさんもぜひ、逆光の撮影にチャレンジしてみましょう(^^)